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2024年度ゼミ成果展 作品紹介4

「教授ガチャポン」

作:小野真侑

1年生の時に教授と仲良くなりたいという思いから企画し、毎年学祭で販売していた作品です。今回の展示では、販売は行わずに今までの作品と、さらにブラッシュアップしたものを3種類追加し全7弾の展示を行いました。さらに、3Dプリンタで教授の胸像を模したカプセルトイの筐体を制作しました。展示を見た人が少しでも教授を身近に感じられたら嬉しいです。

「Peel」

作:岡里帆子

現実でうまくいかない女の子が、シールの世界で、自分の理想を作り上げる物語。女の子の中では、境を作っていた2つの世界がリンクしてしまい、大切なものを傷つけてしまう。幸せな時間は一生続くわけではない。そんな言葉を頭に浮かべながら、自分が1番撮りたいと思っていた「シール帳」という女の子の可愛い空間の中に、少し残酷な内容を足しました。

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2024年度ゼミ成果展 作品紹介3

「とりとはち 」

作:東あかり
インスタレーション作品


the birds and the beesはこどもに性を教える際に英語圏で使われる抽象的な言い回しである。
この言葉を知った時、なぜ子供への性教育はいつも婉曲的に行われるのだろうかという疑問に思った。また、両親の行為を見てしまった子供はその後精神にダメージを受ける事例が見られるという研究を拝見したこともあり、今回、性を生業にする家庭で育った子どもが婉曲的な性教育を受けたらどうなるのか興味が湧き、ピンサロを経営する母姉弟の3人暮らしの家庭が舞台の作品を制作した。
家庭的な雰囲気とピンサロ店を融合させた展示物やこの家であった残酷な事件を想像させる仕掛けを各所に配置した。また、プロジェクターで投影している映像を鏡に反射させることで、登場人物の頭の中を探っていく感覚を表現した。

「jam」

作:米原圭一

日々を過ごす中で感じる怠さと、身の丈をブルーベリーとジャムに例えて表現することを目的としたアニメーション。
作業工程を全てアナログな手法で行い、デジタルでは生まれない温もりを表現することを試みた。
今後は個体や液体を紙面に配置し、ストップモーションの技法を組み合わせることで、被写体から生まれる光と影や、透け感、染みを用いた表現を試みる。

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2024年度ゼミ成果展 作品紹介2


「アッシーくんと作る!毎日の朝ごはん」

作:中村美月

この作品では、3Dを用いて理解できそうで理解できないようなシュルレアリズムを表現した。特にこだわったのは、カメラワークとナレーションである。Blenderの技術も向上し、ドリーズームやキャラクターの動きに合わせたカメラワークなどを取り入れた。
ナレーションは、ほとんどが淡々としているがまれに感情的に話しすなど、映像が単調にならない工夫をした。動画の構成にはお昼の料理番組やSNSのショート動画などを参考にして制作した。空想の食材や料理を3D特有の技術を使って考案するのは楽しかったが、技術面で表現できなかったことも多かったので、今後も向上心を持って制作に臨んでいきたい。

「 level.0」

作:林田琴美

私はDreamcore文化という夢で見たことのあるような不気味な空間に惹かれると同時に、kawaii文化にも興味を持っています。
このふたつを融合させることで自分ならではの表現や世界観が生まれるのではないかと考えました。そこで3Dと手描きアニメーションをかけあわせ、可愛らしさを表現しつつ不気味でどこか目を逸らしたくなるような音楽や演出を取り入れることを試して見ました。
今後は技術面の向上に力を入れると共に、ストーリー性も考えられるようにし、没入感のある作品を生み出していこうと思います。

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2024年度ゼミ成果展作品紹介1

「異世界転生部屋」

作:桑原百加

日常と隣り合わせにあるかもしれない非日常に気付いてほしいという思いで、この作品を制作しました。普段何気なく行っていることや、普段よく見るものが、実は異世界転生の手段だったというような、物の見方が傾くような体験を提供したいと考えました。ただ転生方法を並べるだけではなく、なぜその行動をするのかという理由まで突き詰めて考えることで、転生のリアルさを演出しました。さらに、お香をたいたり、部屋を暗くするなど、空間の演出も工夫しました。順路に沿って黒いビニールで壁を作り、転生儀式以外の情報を遮断するようにしました。また、成果展のアンケートを利用し、最後に転生を匂わせるような質問をいくつか設け、尾を引くような体験が出来るようにしました。

「モノのアイデンティティを奪う実験」

作:土持彩夏


この実験のきっかけは、街を散策している際に中学生くらいの男子がゴミ箱を蹴っている様子を見て「モノに当たる」ことに対して友人と意見を交わし日常的に根付いている「アニミズム」について考えたことです。「アニミズム」とは、自然界のあらゆるものには霊魂や精霊が宿っていると考える信仰のことです 。
先程のような物を感情任せで傷つける行為は、一般的に望ましくないと考えられる。しかし、私たちは一度モノを解体して改良したり捨てたりすることに関しては、決して「暴力(八つ当たり)」ではなく当然であると受け入れられている。より良いモノへと進化させるために、破壊する行為と暴力性を持った破壊する行為の境目はグラデーションのようになっている。そこで、私は実験的に一見モノが本来求められている役割が果たせないような仕掛けを行うことにした。
これらは果たして、「暴力的」なのか「進化」なのか。自由に捉えてほしい。 

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ゼミ生 卒業制作・論文

2024年度卒業制作展  作品紹介4

『 【volti subito】
 (ヴォルティ・スビト)
 「急いでページをめくれ」 』

作:井本彩奈

美しい夕焼けに心を奪われ、愛読書との再会に喜び、怪我の痛みを感じ、好きな音楽に高揚し、友人との別れを惜しみ、大切な人の死を悼む。
生きている我々は、様々な感情を同時に、あるいは連続して経験する。

私は、作品鑑賞後の余韻の時間が好きだ。
しかし、人生はそんな静かな余韻に浸る暇を与えてくれない。
様々な感情がまるで楽曲のように、次々と流れ込んでくる。

この作品は、そんな感情の断片を捉え、形にしたものだ。
喜び、哀しみ、愛しさ、そして孤独。
それらは人生という大きな楽章の中の、たった一つの音符にすぎない。
しかし、その音符一つ一つが、私という人間を形作っているのだ。

「volti subito」
音楽用語で「急いでページをめくれ」という意味を持つこの言葉は、人生そのものを表しているように感じる。
感情のページをめくり、次の感情へと進んでいく。
それが人生という、壮大な楽曲なのだ。

『 異化の作業 』

作:林茜

この作品のテーマは生前葬です。私の全身をスキャンして3Dプリンターで出力した制作物を鑑賞者に破壊させ、それを拾い集めてひとつの箱に収めることで完成となります。これは故人を火葬した後の収骨の過程をなぞらえています。

この作品における破壊行為は、近年見られるような文化浄化を目的としたものや反美学的姿勢によるものではなく、鑑賞者にモノをモノとして再認識させるためのプロセスとして組み込まれています。

今回、私自身の生前葬を執り行う上でこの過程を表現の方法として選んだのは、私が故人を初めてモノになったと認識した行為が「故人だったものの破壊」だったためです。

故人は火葬された後、骨壺に収めるため、大きな骨は折られ、かさばるようであれば上から押しつぶされ、細かくなった欠片や骨粉はミニほうきとちりとりでかき集められます。その作業はどれだけ丁寧であっても、人間に対してすることとは思えませんでした。この経験を踏まえ、破壊とは物質から魂を取り出す行為であると解釈し、この作品を異化の作業と名付けました。

『 無題 』

作:三ッ井翔大

テーマは「夢」「学校の美化」です。

よく作品においては「学校」はノスタルジックに、「学校生活」はかけがえのない素敵なものとして描かれています。これは自分の記憶においてもそうです。クラブでサッカーボールを追いかけて いた記憶、生徒会活動の記憶、その時の友達。そういったキラキラした記憶で私の眠っているとき の夢は構成されています。その自分の「夢」という空間に顔もあやふやな登場人物が紛れ込む世界 を表現しました。VR機器を被った人がその場で他人の考えた世界に入り込める技術自体、思い描いた夢のような技術だと思っています。

そして、それに伴って世の中の学校というものが、あまりにも美化されすぎているとも思います。もちろん人それぞれ辛い記憶や学校にいい印象を持っていない方もいると思いますが、特にアニメ、漫画、ドラマ、フィクションの世界においてはキラキラした世界ではないでしょうか。

それ故に私は、その後の世界が逆に暗いものに見えます。

楽しさよりも「充実感、責任感、ストレス、社会問題」そういったものが描かれがちです。また、今のソーシャルメディアは、刺激的な映像で溢れ、人が傷つく情報が拡散される。それに共感できるからインプレッションが稼げる。観られるからそのような映像や情報がまた流される。そういった仕組みになっています。これによって学校と結びつくものとは対に、目に付くものが暗鬱としたもので溢れているように感じませんか。

私の価値観では人生のピークは「学校生活」です。その先をまだ生きていないので当たり前かもしれませんが、それくらい今まで取り入れてきた価値観の中にこの先の希望がない、そして学校が美化されすぎています。

学校生活だけでなく、今の社会が色々な人生の「楽しさ」を表現する作品で溢れることを願っています。

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ゼミ生 卒業制作・論文

2024年度卒業制作展  作品紹介3

『 ドキュメンタリー女探偵わか 』

作:白石資陽

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この作品は、佐賀に住んでいる人なら誰でも一度は見たことがあるであろう、女探偵わかを主人公としたドキュメンタリー作品である。インタビュー映像や実際の探偵業務の映像を通して、女探偵わかの人物像、実際の仕事の内容、仕事に対する想いなど「女探偵わか」という存在の実態を浮き彫りにしていく。

また、女探偵わかの象徴ともいえる、広告看板にも焦点をあてている。作中の女探偵わかの言葉から分かるように、広告看板は苦しむ人々の救いになりたいという女探偵わかの思いから建てられている。一方で、地域の魅力をつくるうえで欠かせない景観を守りたい、子供に見せたくないなどといった世間からの批判的な意見があるのも事実である。

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不倫や浮気を許さない一般社会では、浮気調査と大々的に書いてある看板には、懐疑的、批判的な目が向けられる。しかし、不倫問題に苦しむ人々も数多くいる。視聴者がこの問題を自分事として捉えるきっかけになるような作品になればと思う。

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『 修羅場つめ 』

作:堀口琉愛

私の卒業制作は、3年時成果展のテーマとなっていた『人に言えない研究』からスタートしている。

このテーマについてどの様に取り組むか考えた際に思いついたのが、当時私が特にハマっていた『修羅場』を取り扱ったコンテンツだった。

主に不倫や夫婦間のトラブル、そしてそれに伴う復讐劇を扱うそれらのコンテンツは、注目してみれば日常の至るところに溢れているが、それを見ている事や楽しんでいる事はあまり公には言わない人が多いだろうし、ましてやそれらをアートや芸術だという認識で見ている人は殆どいないだろう。

また今回の作品でも、成果展時と同様に私は特に2chを題材に用いている。

本人たちですら『こんなところにいるような奴らは・・・』と自分達を卑下する様な姿勢が前提にあり、話し手と聞き手の反応を含んだやり取りが一体となって一つの作品の様に見える、という点を特に面白いと感じたからだ。

展示は敢えて床に貼ることで、普段は目に付かないような、そして誰も本来作品を展示したがらないような場所にこういったコンテンツは普段配置され、そして密かに人々に楽しまれているのだという事を表現した。

気軽にどこででもみることができる、参加することのできるコンテンツが身近にあること、そしてそれを楽しんでいる人もまたとても身近にいるのかもしれない、ということを考えるきっかけになれれば、と思う。

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ゼミ生 卒業制作・論文

2024年度卒業制作展  作品紹介2

3つの事例から見る現代社会においての 人の運命的な出会いについての研究;  ショートフィルムオムニバス

作:桶本優

3つのショートフィルムをオムニバス式に上映。

『旅立つ老人と或る大学生』『泥棒と小さな女の子』『黄色い帽子の大学生とサングラスの留学生』の出会いとそれによるキャラクターの変化を描く。

心を動かす映像には「衝撃」という要素が必要である。死・暴力・不倫などのテーマは「衝撃」との親和性が高いが、今回それらを避け「優しい衝撃」に挑戦した。そのために、言動の要因と結果をすこし遠ざけたり、キャラクターに感情を語らせなかったりしている。

本作のキャラクターは、少し不器用で愛おしい。鑑賞者は優しく見守ってしまうが、気づくと鑑賞者側が大切な何かを心に訴えかけられるかもしれない。高い理想を全員の必要かのように押し付けられる現代に、不器用な彼らを描かなくてはならない。

また、編集・選曲などに異国情緒を感じるのも特徴である。個人的な好みも関係してはいるが、今回は別世界にいざなうことが目的である。フィクションを、フィクションらしく距離をとって描くことで、映画における現実逃避というひとつの役割を強調した。ここに書いたことは、さほど意図してそうなっているわけでなく、ただ俯瞰的に分析した結果である。だから、観る人には頭より心で受け取ってほしい。本作が放った優しい衝撃で、誰か一人でもいいから2週間くらい優しい気持ちになれば嬉しい

『 under the rose 』

作:津留さくら

この作品のテーマは秘密と感覚。

近年、人に言えないことを抱えた若者たちが行き詰まり、自傷行為や不登校になるケースが増えている中、私自身の経験を通して、こうした秘密を抱える人々が集える場所を作りたいと思った。

私は、自分のことを俯瞰する感覚、デジャヴや正夢を感じる感覚がある。

自分でこのことについて深く考えると少し怖くもなり、あえて人に話さずに生きてきて、自分にとっての大きな秘密になった。

その一方で、もしかしたら同じような感覚を持つ人がいるかもしれない、見つけることができたら面白いなという好奇心もあった。

そのため、私の作品は、自分の特異な感覚を昇華させ、共有することで、他者の秘密にも触れられる平等な空間の形成を目指している。

展示には、私が抱える感覚以外の秘密をもったオブジェや、作品に添えられた文章は、私がこの10ヶ月間に直面してきた葛藤や戸惑いを記録したものであり、私自身の秘密と感覚を深く見つめ直す過程を反映している。

この展示を通じて、来場者それぞれが自分自身の秘密や感覚に対して考えるきっかけとなり、見ず知らずの人と共有することで、心が軽くなるような場が生まれることを願っている。

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ゼミ生 卒業制作・論文

2024年度卒業制作展  作品紹介1

『 扶け 』

作:杉山伊玖海

SNS に蔓延る男女叩きへの苛立たしさから、フェミニズム映画の新しいジャンルとしての確立を目指し制作した。

脚本を制作するにあたり、主人公を男性にして、試練に立ち向かう姿でストーリーに盛り上がりを見せつつ、女性が抱える問題に対して俯瞰して見られるように意識した。夫婦がお互いにどう歩み寄るべきかを主人公とともに模索できる物語なのだ。

ラストはハッピーエンドに見えるが、女性の秘めた強かさによって困難を乗り越えていることも1つのポイントである。果たして二人はお互いを見つめ直すことが本当にでき、今後幸せになることはできるのか否かは視聴者に委ねたい。

『 emotion graphic 』

作:中田結泉

人間は生物の中でも言語、手振り身振り、文字などあらゆる手段で感情を表現、または読み取るコミュニケーションを行うことができる

では芸術に対してはどのような情報を読み取って“感情”を判断するのだろうか

明確な文字と言葉を使わず色と形で織りなす芸術に人間が感じる“感情”の基準とは何か

人間の感情の分類は色相環と似ており、基本となる色だけで色々な色が作り出せるように、感情も基本となる8つの感情(喜び・信頼・恐れ・驚き・悲しみ・嫌悪・怒り・期待)から色んな感情が生まれるという「プルチックの感情の輪」が存在する

プルチックの感情の輪では二つの基本感情が同時に起こると人間特有のの高度な感情が生まれる。

例えば「喜び+信頼」の二つの感情が同時に起こると「愛」が生まれるのだ。

人間の感情の種類は多く、このプルチックの輪を使えばより心の底から感じた本当の思いが自覚でき判断できるようになるかもしれない

この説を踏まえつつ、世界観が異なる映像作品を視聴した人たちの感情を集め、他の人と自分の生まれる“感情”の違いを皆んなで見られるようになれば面白いのではと思い制作した

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2023年度卒業制作展 作品紹介6

「夢」

作:本吉真歩

大学生活を振り返ると作品制作において意識はしていないが「人」をテーマにすることが多かった。

入学当初、コロナ禍で大学に行けず、オンラインで様々な人と繋がった。

他人と関わる中で、嫌われることを恐れて良い人を演じてきたが、気づけば深くまで繋がっている人はいない気がする。

Aさんに見せる自分とBさんに見せる自分は違う。多かれ少なかれ、誰にとっても同じ自分を見せることはないと感じる。

ふと、皆はどうなのだろう?と気になった。

対「私」用のAさんではなくその人だけの変わらないものを覗いてみたくなった。

私にとってそれは「夢」だった。夢はその人しか持ち得ないイメージだと思う。赤裸々に個々の様々な想いが反映され得る。

そこで、21年の生涯で特に関わってきた家族や友人、また自分自身に印象的だった夢についてのインタビューを行い、そのイメージの一部を生成AIで生成した。

生成AIは夢を見ない。だからこそ個人によって大きく異なる夢のイメージを生成AIというフィルターを通して、一つの視点から見ることができる。そのため、この作品ではみんなの夢のイメージを生成AIで表現することに決めた。

私の作品を通して、身近な人を捉え直すきっかけになれば幸いです。

「アウラ(E)定義を基にした芸術作品」

作:大石優司

アウラ(E)は場、作品、鑑賞者間の相互作用によって創出される。

この作品群は、立体、映像作品から場へのインスタレーション的歩み寄りで場-作品間の相互作用を強め、アウラ(E)の増幅を試みたものである。

①浸透 フラフープとトランペットを用いたレディメイド作品である。

トランペットから放たれた波動のイメージが場に展開される。

②遠隔通信 2つのテニスプレイヤーのアニメーションを向かい合わせに配置した映像作品である。見えない球が行き来し、その弾道上が領域となり、場に展開される。

③浸透Ⅱ 半分に切断したフラフープを用いたレディメイド作品である。①浸透と異なり、斜め方向に角度のついた領域が場に展開される。

④ ネガ・フィールド フレームを用いた立体作品である。「フレームを解体し、裏返しにすれば外側が作品になる」というコンセプトである。フレームの内側を除いた展示室全体が領域である。

⑤隔絶項 鑑賞スペース外の空間に配置された作品であり、直接鑑賞できない。展示室の見取り図を配置することで作品の位置を示した。ベンヤミンの言う所の、アウラの「どれほど近くにあろうともある遠さを持った」状態を物理的に作り出し、アウラ(E)創出を試みた。

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ゼミ生 卒業制作・論文

2023年度卒業制作展 作品紹介5

「未来の君へ」

作:原菜々子

私は「未来への反抗」をコンセプトに作品制作を行いました。

未来では人間は仮想空間に生きるようになると言われています。その世界では肉体が死んだとしても脳みそさえあれば永遠に生きられると。

この大学4年間で2人も大切な家族を亡くし、現実世界とはなんなのか、なぜ死というものが存在するのか、様々なことを考えました。若くしてこのどうしようもなく辛い経験を得て、私がこの世界に対して、そして未来の仮想空間に対してどのように思ったのかというのを作品としてみんなに観て知ってもらいたいと思い、命をテーマに映画を撮影しました。

観る人によっては響かないかもしれない。しかし、どこかの誰かの心には響くかもしれない、そんな言葉が詰まっています。

撮影は全てiPhoneのシネマティックモードで、エフェクトはafter effectsで、合成はpremiere proで、3DCGは blenderで、繋ぎ合わせはInshotで行いました。

撮影技術も編集技術もほぼゼロの状態から始めて、ヒーロースーツ制作から編集まで、勉強しながら約1年かけて自分でこなしたので、ぜひたくさんの方に楽しんでいただきたいです。

「記憶まちがいさがし」

作:本田 結子

私の作品「記憶まちがいさがし」は、とても個人的な題材をもとにしています。それは、「私がいつも考えていること」です。自分は言葉に出すよりも、形にするよりも多く頭の中で考え事をしていたり、何かを確認していたり、独り言を言ったりしています。

この作品ではその中から、「自分が考える、自分に対する認識」を選び、その考えが本当に正しいものかどうかを様々な証拠を用いて検証しています。ただし、学術的な展示のみ行うのではなく、その過程を見る人にも体験してもらえるように「まちがいさがし」という誰もが馴染みのある遊びになぞらえて制作しました。

 展示に際して、構成を考えた時、同じ寸法の紙をパズルのように組み合わせていく方法を選びました。これは特に考え込むこともなく自然に浮かんだやり方でした。なぜかと言えば、題材とした「自分の考え」がぽつぽつととりとめもなく頭に浮かぶさまと、広い壁面のあちこちに話題が散乱している様子がリンクしたのだと思われます。

 他人の人生を少し覗き見するように、ふらりと立ち寄って、遊んでもらえたらうれしいです。