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ゼミ生 卒業制作・論文

2023年度卒業制作展 作品紹介4

「Saga State Survivor」

作:田代翔太

僕は、大学生活4年間を通して、初めて過ごす佐賀という現在地をより深く知ろうと思い、スマートフォンなどを使って目に入ってきた風景を撮影してきました。撮影された写真は、膨大な量になりましたが、その中でも特に自分がひかれたものを抽出しiPadで描き起こす作業を繰り返してきました。iPadで描き起こすことは、その風景にどうして僕は魅力を感じたのかと言うことを再認識する作業だっただと思います。僕の敬愛する高畑勲監督は、『おもひでぽろぽろ』の制作時に、山形の風景をリアリズムの極地と言われるまで繊細に描き、『これはアニメーションでやる意味があるのか、実写でやった方が良いのではないか?』といった指摘をされていました。それに対し、『描き起こすことによって、本来その人々の生活や風景と言うものが克明なものとして浮かび上がってくる。それは実写では不可能だ。』と答えていました。僕は、その言葉に感銘を受けました。そして自分が写真に撮影した風景を描き起こす行為を通して、その風景が自分の実感として取り込まれていくような感覚を実際に感じました。描いてきたスケッチのようなものは、卒業制作のためだけに作られたものではなく、自分の日頃のルーティーンの制作として、長い期間続けられ、自分がここまで継続できたものは、人生の中においてはじめての事ではないかと思いました。

今回の時点では、その中から厳選したものを抽出し、iPadとアートブックという2つの異なるメディアを通して提示しています。

僕のドローイングは全てiPad上で行っており、キャンバスに絵の具で描くといった古典的な技法とは異なり、絵画そのものが実態を持ちません。 iPadと言う機械の持つ、充電し続けなければ消えてしまう脆さ、僕はそれに惹かれ、それを敢えてむき出しのまま、展示することにしました。

「Music Hall」

作:田畑佑莉

日々進化を遂げている音楽のプロモーションビデオに感化され、インスタレーションや作曲を手がけた。私たちの過ごした大学生活は、コロナ禍でアーティストのライブが縮小される中、オンデマンド配信の演出に多様性が見出された時代でもある。さらに音楽好きにとってそれは「視聴する」意外の楽しみを封じ込めるものであり、「曲に浸かりたい」という願望を募らせるものであった。ボーダーレスな海のように、曲のジャンルでは語れない自己を空間に落とし込むこと、異空間を楽しんでもらうことをコンセプトとした。楽曲については3つを作詞作曲レコーディングした。英訳にはChatGPTを、作曲にはGarageBandを用いた。1曲目のイントロは80年代のR&Bと自然を意識したため、ウィンドチャイムやハープ、水の音を取り入れた。2曲目は「FONK」で、80年代ファンクやハウスミュージックを意識したため、アップテンポすぎない感覚や様々なキーボードでの見せ場を大切にした。中には最も尊敬するバンド、クイーンのOne Visionのオマージュを取り入れている。曲の1番は英語、2番はその日本語で歌った。3曲目はヴォーギングダンスの曲をイメージした重低音でアップテンポな曲である。途中、映画「羊たちの沈黙」の会話が取り入れられているのも見どころだ。歌詞ではJーPOPに囚われることへの皮肉や自由に曲を好きになることへの主張を綴っている。そして演出では、ミラーボールを屋内の太陽に見立て、そこから反射した光が床に注がれ、花が自生するというテーマのもと作った。スモークを焚くことでより幻想的な雰囲気に近づけた。