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卒業制作・論文

卒業制作展2022 作品解説その8

この記事は、2022年度卒業制作作品の作者による解説を紹介しているものです。今回は、楠田亜衣乃さんによる作品解説です。(以下は本人)

「夢裡」楠田亜衣乃
(手法:モニター映像)

「夢」というものは、人により抱く感情が異なるものです。安らぎや希望などポジティブなものから、不安などネガティブなものまで多様であり、時に人はこの文字で表現をし、この言葉を人生になぞらえて語ってきました。本作のタイトルである「夢裡」は夢の中を表す言葉です。

この作品では、「夢」という言葉によって想起されるイメージを、画面の揺らぎや、平面、立体の複合的手法、実在性と非現実性の融合、古い映像のような加工編集による不明瞭さなどをもって表現しています。また、シーンごとの構成やライティングは、一枚の画として成り立つものとなるよう意識しています。これらは全て3DCGで作られ、その空間の中に、あなた自身であり、また私であり、はたまた第三者でもある2Dアニメーションによって描かれた少女が佇んでいます。音声については、主に近隣で自ら録音したものを使用しており、環境音の入り混じった粗雑さも 不安定さを表現する要素の一つです。

この作品は、あくまで私という個人によって「夢」というワードから連想し生み出されたものの域を出ません。しかし、ここから感じ取るイメージは、まさしく「夢」 という言葉と同じように人それぞれであると思います。 これを通して、自身の中にある価値観を見つめていただければ幸いと思い、制作いたしました。