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2025年度ゼミ成果展 作品紹介2

「ターゲット」

作:齋藤篤志

この作品は、題名の通り、ターゲットがメインとなったフィクションの映像作品である。私の趣向として、日常の風景や連続した似た様子の中に少しずつ変化や面白みが発生するという表現が好きであり、この表現は鑑賞者に何を見せられているのかという疑念と、何が起こるのかという期待感を与えることができる。また、変化はあったとしても、似た様子の繰り返しは、鑑賞者の飽きを生んでしまうため、五日という設定に至った。

内容としては、メッセージアプリの映像から始まり、何らかのターゲットの情報を伝えられ、何かを指示される。

そしておそらくターゲットであろう男性を撮影者が五日間しつこく訪れる同じ構図の映像が続く。

その後にオチと言われる部分が来るが、そのオチはこの作品の真意を暴くものではない。撮影者は一体何者であり、何が目的であったのか、五日間の期限とは、などかなり謎が残る作品となっている。

シリアスな内容となり、作りこみが甘い部分もあるが、今回の制作を通して、この構成の流れで面白さをメインとした、よりクオリティの高い内容を作りたいと思うようになった。

「音」

作:塚田百合奈

本作は、ASMRという視聴者に安らぎや心地よさを与える映像形式を引用しながら、その期待を意図的に裏切ることを試みた作品である。映像では、パジャマ姿でカメラに向かい、木もおもちゃやぬいぐるみなど、身近な物を手に取り音を鳴らしている。しかし実際に聞こえてくる音は、視覚から予想される質感とは一致しない。軽く叩いた木箱から水音が響き、柔らかな人形からは硬質で鈍い音が鳴る。私たちは普段、視覚情報から無意識に音を予測し、違和感なく世界を認識している。

本作ではその感覚の自動処理を崩すことで、映像と音の関係性を改めて問い直す。心地よさを生むはずの形式の中にズレを生じさせることで、安心と不安の境界を体験させることを目的とした。映像と音がリンクしていないことに気づくと、映像ではなく音自体に意識が行く。「これは何の音を重ねているのか」と、視覚と聴覚がズレている前提で映像を見るはずだと考え、一部そのままの音と映像を用いているシーンがある。探してみてほしい。

「モンゴルの伝統文字とデザイン視点から見る異文化間の可能性」

「作:トルガ ノムンビレグト」

近年、私は自らのアイデンティティを見つめ直す過程において、モンゴル文化について改めて研究を進めている。これは私個人の問題にとどまらず、現代社会において多くの人々がそれぞれの独自性やルーツに目を向け始めている状況とも重なるものである。

モンゴル文化は、広大な自然と厳しい気候の中で生き抜いてきた生活の営みから形成された文化である。私はその中でも、世界的にも珍しい縦書き表記を持つモンゴル文字に注目した。モンゴル文字は流れるような造形美と独特のリズムを備えているが、デザイン分野からの研究は十分であるとは言い難い。そのため私は、文字の形態や構造、視覚的リズムを分析し、そこに内在する文化的美しさと現代的可能性を見出すことを試みた。

今後はこの研究をさらに発展させ、モンゴル文化の魅力をより多くの人々に伝えることを目指す。そしてその取り組みが、人々自身の文化やアイデンティティを見つめ直す契機となることを期待する。私たちは皆同じ人間であり、言語や文化の違いは「壁」ではなく、互いをより深く理解し共有するための機会であると考える。