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卒業制作・論文

卒業制作展2022 作品解説その4

この記事は、2022年度卒業制作作品の作者による解説を紹介しているものです。今回は、財津邦央さんによる作品解説です。(以下は本人)

「奇怪人 クラウン」財津邦央

「右と左」「朝と夜」「表と裏」・・・
全ての物事は必ず二つの側面を持っており、
その二つはまるでコインのように表裏一体になっている。
彼はある人間の「もう一つの側面」として誕生した。
その人間はどこにでもいる普通の人間だった。
・・・正確には普通の「側面」を被ってだけかもしれない
なぜ「普通」に生きなければいけないのか?道を外れることはいけないのか?
普通に生きるのが「正しい」と言えるのか?それ以外は「間違い」と言えるのか?
そもそもなぜ自分の意見は否定されるのか?自分はなぜ他人の意見を否定するのか?
「正しい」「正しくないの基準ってなんだ?他の人はそれを持っているのか?
なぜ自分は・・・、なぜ人は戦・・・、なぜ%(は&‘’・・・?
そういった悩みが知らず知らずのうちに蓄積し、限界まで達したとき、
「そいつ」は生まれた。
名は「ウラクン」
混沌の象徴として「嵐」の意であるウラカン(HURACÁN)からきている。
「旅客機」と「戦闘機」、「乗用車」と「装甲車」など
正反対の性格をもつ乗り物がイメージに組み込まれている。
そいついわく使い方で「善」にも「悪」にもなり得る「モノ」の象徴らしい。
目はシートベルトで目をふさぎ、唇は後ろにあるはずのテールライトで構成されておりどことなくピエロのような外見となっている。
そいつは自分を「ヒーローでもヴィランでもない」と称している。
特にそいつはよくこう話している。
『オレは今一度「表裏一体」というものを考えてほしくて出現したんだ。
右(R)になれば王冠(CROWN)、左(L)になれば道化師(CLOWN)になる。
たった1文字の違いで正反対の身分になれるんだ。
 でも正反対になるのはオレの名前だけじゃない。
 ちょっと視点を変えるだけで「善」は「悪」にだってなりうるんだ。

 

 お前が普段持っている考えた意見、それは本当に正しいのかい?」

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卒業制作展2022 作品解説その3

この記事は、2022年度卒業制作作品の作者による解説を紹介しているものです。今回は、後藤龍輝さんによる作品解説です。(以下は本人)

「手水手」後藤龍輝
(手法:インスタレーション、プロジェクション映像、モニター映像)

新型コロナウイルスが蔓延してから数年たった今、ある種の強迫観念のもと手を洗う行為がより身近になったと感じる。しかし日本では古来より手を洗う習慣があった。歴史をさかのぼってみると、日本に手洗いの習慣が生まれたのは3世紀中ごろ~4世紀(古墳時代)だといわれている。この時手洗いの習慣が生まれた理由は「疫病」だった。コロナウイルスが流行している現代と同じである。しかし昔は医学が発達していなかったため、細菌やウイルスを洗い流すために手を洗うのではなく、神に祈るために身を清める意で手を洗うようになり、習慣と化した。

同じ手を洗うという行為でも、まったく別の意味を持っている。たとえ手を洗う理由が同じ「疫病から身を守るため」であったとしても。このことから見えてくる手を洗う意味の「変遷」に私は妙な寂しさを覚えた。身を清めるために、神に祈るためにと健気な思いで洗っていた手はいつの間にか医学的根拠によってウイルスを落とすための作業として洗うようになり、その意識が強迫観念となって「手洗い」にまとわりついている。

今回の作品の真ん中に設置されているオブジェクトは「身を清める」と「ウイルスを落とす」手洗いの中間に位置するものだと私はとらえている。御手水で何かにとりつかれたように手を洗い続ける人間の映像と様々なところで流しっぱなしになっている水の映像。そして中間に位置するオブジェクト。これらが絡み合い落ちていく水は地へ帰り、循環する。私が新型コロナウイルスを患ったことなど無視をするように。

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卒業制作展2022 作品解説その2

この記事は、2022年度卒業制作作品の作者による解説を紹介しているものです。今回は、北村安未さんによる作品解説です。(以下は本人)

「感覚に寄せて」北村安未
(手法:VR空間、テキスト、音声、VRヘッドセット、壁面シール、iPad)

自分の感覚と記憶に関する思いをテーマに作品を制作した。壁面には私の今まで印象に残った感覚や、感じるものに対する思いを書き綴った文章を文字をシールにして貼っている。文章は4つあり、それぞれのテーマは「夏の朝の記憶」「冬の光」「怖いもの」「故郷の匂い」である。これらは私の今まで感じた事であり、私の考えであるので個人的な感想だ。そのため、鑑賞者によって共感したり、共感できなかったりがあると思う。しかし、共感を得られなくとも私の文章を読み、自分の中で感覚を想像したり自分の中の感覚を振り返る事で後述するテーマにも繋がっていく。

部屋の中央にはVRヘッドセットと映像がある。映像は私の感覚に関する考えに関する文章とそれを読み上げるナレーションだ。この文章では「感覚の記憶」に関して記述してる。私の考えとして、感じ取ったものによって視野が広がり、人の価値観は変化したり成長していくと考えている。しかし、感覚は意識しないと感じず、忘れてしまう。そして感覚を思い出した時になんとなくで感じたものを補完・美化してしまう。VRヘッドセットでは森林の風景が体験できる。しかし、その映像はCGでできたものであり、本物ではない。その本物ではないVRや想像させる文章を通し、自分の感覚を思い出し感覚について今一度考えてもらう、寄り添ってもらうことで自分の感じるものをより鮮明にしてもらう事がこの作品の目的である。

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卒業制作展2022 作品解説その1

この記事は、2022年度卒業制作作品の作者による解説を紹介しているものです。今回は、大部菜々さんによる作品解説です。(以下は本人)

「歪む」大部菜々
(手法:プロジェクション映像、モニター映像、アニメーション、AI描画)

夜の海、スノーノイズ、長いトンネルなど、これらを眺めている時に陥る”境界線が曖昧になり、吸い込まれる感覚”をテーマにホラーアニメーションを制作した。

本作の手法として、手書きアニメーションの他に自動画像生成AIを用いている。

自動画像生成AIの特性の一つとして、画像を元にした類似画像の生成がある。この生成する行為を繰り返し行い、画像を繋げていくことで、脳が認識する前に対象のモノが形を変えていく不思議な感覚に陥る映像を作ることができた。

また、本作品の背景も全て自動画像生成AIで作られている。AIを採用した理由は2つある。

1つ目は、既視感を演出するためだ。

既視感を感じることで、この恐怖は自分の日常にも潜んでいるかもしれないと錯覚する。

自動画像生成AIは、インターネットで収集した画像も含め、膨大な画像データセットを学習している。その為、誰もが既視感のある風景画像を作ることができると考えた。

2つ目は、アニメ業界における効率化だ。

今日におけるアニメーターの多くが同時進行で複数の作品を担当しており、一人一人の負担が重たくなっている。こうした過酷な労働環境では、作品のクオリティを上げていくことはおろか、人材を育成していくことすら難しい。

AI画像生成技術を導入する事で、単純な作画作業から解放され、人間にしかできない表現に注力することができるのではないだろうか。

あくまでも選択肢の一つに過ぎないが、最新のツールを用いたアニメーションの可能性について考えほしく、AIを使用した。

この映像を通して、自分の意思と反して吸い込まれていく感覚や自動画像生成AIで作る映像の可能性を感じていただきたい。

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卒業制作・論文

「佐賀大学 卒業制作展2021」を終えて

佐賀大学芸術地域デザイン学部では、4年間の集大成として2021年度卒業制作展を2月11日から20日にかけて行いました。

ここでは、映像デザインゼミの学生が展示した作品を紹介したいと思います!

Cut out movie from expression of video games

江口伊吹

ポケモンDPtリメイクに際し作成したBGMアレンジとMVの展示。作成の際に培った技術や所見を短い動画にまとめました。コンテンツの強さとして動画が優秀なのはこの学部で多く学びました。しかし中々制作の楽しさまでは行き着きません。自分はどこに拘りとモチベーションを持って制作に臨むことができるのか、それを知るためにもコレを見たあなたも帰って1つ、頭の中にしかなかった動画を作ってみませんか?

GIFアニメカード

鎌田将平

日常の風景を描いたGIFアニメーションをカードにしました。カードの裏面のQRコードを読み込むとアニメーションを見ることができます。

Nozokimi SHOKUDO

瀬戸口里歩

オリジナルキャラクターをベースにした架空のお店「Nozokimi SHOKUDO」。空間を含め、キャラクターのブランディングをしました。

理想郷

園田千智

私にとって地元である「佐賀県」の形を借りて、私だけの理想郷をつくりました。

小さいときに見た夢、小学生のときに見た夢、大学生のときに見た夢……
何度も何度も同じ夢を見ました。
いつも何かに追われていました。
そんな夢の中を私が見た分だけ、つくりました。

リレーショナルデザインルーム

宮崎真優

現代の繋がり・関係性は多様化しています。この多様化する繋がり・関係性の中で、コトのデザインの観点から対象にとって適切な繋がり・関係性をデザインすることを「リレーショナルデザイン」と定義し、実践研究に取り組みました。
 本展示では、実践研究で取り組んだ実践例及び実践活動の成果を資料として展示し、1つの空間を通してリレーショナルデザインの提唱を試みます。

Next Generation Content

益田祐輔

モーションキャプチャー・XR・ネットワーク等の技術をリンクすることでリアルとバーチャルを融合した体験を提供します。

穴井利奈

私たちは普段、無意識で様々な選択をしながら生きています。日々の些細な選択によって偶然出逢ったものに着目してみると、より人生が豊かになるかもしれません。そのような何気ない日常の中に潜んだ小さな選択と小さな出逢いを、私自身の経験に基づき体験型の作品にしてみました。

ご来場してくださった皆様、ありがとうございました。

今回出展したゼミのメンバーです。お疲れ様でした。

ありがとうございました☺️