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ゼミ生 卒業制作・論文

2024年度卒業制作展  作品紹介2

3つの事例から見る現代社会においての 人の運命的な出会いについての研究;  ショートフィルムオムニバス

作:桶本優

3つのショートフィルムをオムニバス式に上映。

『旅立つ老人と或る大学生』『泥棒と小さな女の子』『黄色い帽子の大学生とサングラスの留学生』の出会いとそれによるキャラクターの変化を描く。

心を動かす映像には「衝撃」という要素が必要である。死・暴力・不倫などのテーマは「衝撃」との親和性が高いが、今回それらを避け「優しい衝撃」に挑戦した。そのために、言動の要因と結果をすこし遠ざけたり、キャラクターに感情を語らせなかったりしている。

本作のキャラクターは、少し不器用で愛おしい。鑑賞者は優しく見守ってしまうが、気づくと鑑賞者側が大切な何かを心に訴えかけられるかもしれない。高い理想を全員の必要かのように押し付けられる現代に、不器用な彼らを描かなくてはならない。

また、編集・選曲などに異国情緒を感じるのも特徴である。個人的な好みも関係してはいるが、今回は別世界にいざなうことが目的である。フィクションを、フィクションらしく距離をとって描くことで、映画における現実逃避というひとつの役割を強調した。ここに書いたことは、さほど意図してそうなっているわけでなく、ただ俯瞰的に分析した結果である。だから、観る人には頭より心で受け取ってほしい。本作が放った優しい衝撃で、誰か一人でもいいから2週間くらい優しい気持ちになれば嬉しい

『 under the rose 』

作:津留さくら

この作品のテーマは秘密と感覚。

近年、人に言えないことを抱えた若者たちが行き詰まり、自傷行為や不登校になるケースが増えている中、私自身の経験を通して、こうした秘密を抱える人々が集える場所を作りたいと思った。

私は、自分のことを俯瞰する感覚、デジャヴや正夢を感じる感覚がある。

自分でこのことについて深く考えると少し怖くもなり、あえて人に話さずに生きてきて、自分にとっての大きな秘密になった。

その一方で、もしかしたら同じような感覚を持つ人がいるかもしれない、見つけることができたら面白いなという好奇心もあった。

そのため、私の作品は、自分の特異な感覚を昇華させ、共有することで、他者の秘密にも触れられる平等な空間の形成を目指している。

展示には、私が抱える感覚以外の秘密をもったオブジェや、作品に添えられた文章は、私がこの10ヶ月間に直面してきた葛藤や戸惑いを記録したものであり、私自身の秘密と感覚を深く見つめ直す過程を反映している。

この展示を通じて、来場者それぞれが自分自身の秘密や感覚に対して考えるきっかけとなり、見ず知らずの人と共有することで、心が軽くなるような場が生まれることを願っている。

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