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ゼミ生 卒業制作・論文

2023年度卒業制作展 作品紹介6

「夢」

作:本吉真歩

大学生活を振り返ると作品制作において意識はしていないが「人」をテーマにすることが多かった。

入学当初、コロナ禍で大学に行けず、オンラインで様々な人と繋がった。

他人と関わる中で、嫌われることを恐れて良い人を演じてきたが、気づけば深くまで繋がっている人はいない気がする。

Aさんに見せる自分とBさんに見せる自分は違う。多かれ少なかれ、誰にとっても同じ自分を見せることはないと感じる。

ふと、皆はどうなのだろう?と気になった。

対「私」用のAさんではなくその人だけの変わらないものを覗いてみたくなった。

私にとってそれは「夢」だった。夢はその人しか持ち得ないイメージだと思う。赤裸々に個々の様々な想いが反映され得る。

そこで、21年の生涯で特に関わってきた家族や友人、また自分自身に印象的だった夢についてのインタビューを行い、そのイメージの一部を生成AIで生成した。

生成AIは夢を見ない。だからこそ個人によって大きく異なる夢のイメージを生成AIというフィルターを通して、一つの視点から見ることができる。そのため、この作品ではみんなの夢のイメージを生成AIで表現することに決めた。

私の作品を通して、身近な人を捉え直すきっかけになれば幸いです。

「アウラ(E)定義を基にした芸術作品」

作:大石優司

アウラ(E)は場、作品、鑑賞者間の相互作用によって創出される。

この作品群は、立体、映像作品から場へのインスタレーション的歩み寄りで場-作品間の相互作用を強め、アウラ(E)の増幅を試みたものである。

①浸透 フラフープとトランペットを用いたレディメイド作品である。

トランペットから放たれた波動のイメージが場に展開される。

②遠隔通信 2つのテニスプレイヤーのアニメーションを向かい合わせに配置した映像作品である。見えない球が行き来し、その弾道上が領域となり、場に展開される。

③浸透Ⅱ 半分に切断したフラフープを用いたレディメイド作品である。①浸透と異なり、斜め方向に角度のついた領域が場に展開される。

④ ネガ・フィールド フレームを用いた立体作品である。「フレームを解体し、裏返しにすれば外側が作品になる」というコンセプトである。フレームの内側を除いた展示室全体が領域である。

⑤隔絶項 鑑賞スペース外の空間に配置された作品であり、直接鑑賞できない。展示室の見取り図を配置することで作品の位置を示した。ベンヤミンの言う所の、アウラの「どれほど近くにあろうともある遠さを持った」状態を物理的に作り出し、アウラ(E)創出を試みた。

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2023年度卒業制作展 作品紹介5

「未来の君へ」

作:原菜々子

私は「未来への反抗」をコンセプトに作品制作を行いました。

未来では人間は仮想空間に生きるようになると言われています。その世界では肉体が死んだとしても脳みそさえあれば永遠に生きられると。

この大学4年間で2人も大切な家族を亡くし、現実世界とはなんなのか、なぜ死というものが存在するのか、様々なことを考えました。若くしてこのどうしようもなく辛い経験を得て、私がこの世界に対して、そして未来の仮想空間に対してどのように思ったのかというのを作品としてみんなに観て知ってもらいたいと思い、命をテーマに映画を撮影しました。

観る人によっては響かないかもしれない。しかし、どこかの誰かの心には響くかもしれない、そんな言葉が詰まっています。

撮影は全てiPhoneのシネマティックモードで、エフェクトはafter effectsで、合成はpremiere proで、3DCGは blenderで、繋ぎ合わせはInshotで行いました。

撮影技術も編集技術もほぼゼロの状態から始めて、ヒーロースーツ制作から編集まで、勉強しながら約1年かけて自分でこなしたので、ぜひたくさんの方に楽しんでいただきたいです。

「記憶まちがいさがし」

作:本田 結子

私の作品「記憶まちがいさがし」は、とても個人的な題材をもとにしています。それは、「私がいつも考えていること」です。自分は言葉に出すよりも、形にするよりも多く頭の中で考え事をしていたり、何かを確認していたり、独り言を言ったりしています。

この作品ではその中から、「自分が考える、自分に対する認識」を選び、その考えが本当に正しいものかどうかを様々な証拠を用いて検証しています。ただし、学術的な展示のみ行うのではなく、その過程を見る人にも体験してもらえるように「まちがいさがし」という誰もが馴染みのある遊びになぞらえて制作しました。

 展示に際して、構成を考えた時、同じ寸法の紙をパズルのように組み合わせていく方法を選びました。これは特に考え込むこともなく自然に浮かんだやり方でした。なぜかと言えば、題材とした「自分の考え」がぽつぽつととりとめもなく頭に浮かぶさまと、広い壁面のあちこちに話題が散乱している様子がリンクしたのだと思われます。

 他人の人生を少し覗き見するように、ふらりと立ち寄って、遊んでもらえたらうれしいです。

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2023年度卒業制作展 作品紹介4

「Saga State Survivor」

作:田代翔太

僕は、大学生活4年間を通して、初めて過ごす佐賀という現在地をより深く知ろうと思い、スマートフォンなどを使って目に入ってきた風景を撮影してきました。撮影された写真は、膨大な量になりましたが、その中でも特に自分がひかれたものを抽出しiPadで描き起こす作業を繰り返してきました。iPadで描き起こすことは、その風景にどうして僕は魅力を感じたのかと言うことを再認識する作業だっただと思います。僕の敬愛する高畑勲監督は、『おもひでぽろぽろ』の制作時に、山形の風景をリアリズムの極地と言われるまで繊細に描き、『これはアニメーションでやる意味があるのか、実写でやった方が良いのではないか?』といった指摘をされていました。それに対し、『描き起こすことによって、本来その人々の生活や風景と言うものが克明なものとして浮かび上がってくる。それは実写では不可能だ。』と答えていました。僕は、その言葉に感銘を受けました。そして自分が写真に撮影した風景を描き起こす行為を通して、その風景が自分の実感として取り込まれていくような感覚を実際に感じました。描いてきたスケッチのようなものは、卒業制作のためだけに作られたものではなく、自分の日頃のルーティーンの制作として、長い期間続けられ、自分がここまで継続できたものは、人生の中においてはじめての事ではないかと思いました。

今回の時点では、その中から厳選したものを抽出し、iPadとアートブックという2つの異なるメディアを通して提示しています。

僕のドローイングは全てiPad上で行っており、キャンバスに絵の具で描くといった古典的な技法とは異なり、絵画そのものが実態を持ちません。 iPadと言う機械の持つ、充電し続けなければ消えてしまう脆さ、僕はそれに惹かれ、それを敢えてむき出しのまま、展示することにしました。

「Music Hall」

作:田畑佑莉

日々進化を遂げている音楽のプロモーションビデオに感化され、インスタレーションや作曲を手がけた。私たちの過ごした大学生活は、コロナ禍でアーティストのライブが縮小される中、オンデマンド配信の演出に多様性が見出された時代でもある。さらに音楽好きにとってそれは「視聴する」意外の楽しみを封じ込めるものであり、「曲に浸かりたい」という願望を募らせるものであった。ボーダーレスな海のように、曲のジャンルでは語れない自己を空間に落とし込むこと、異空間を楽しんでもらうことをコンセプトとした。楽曲については3つを作詞作曲レコーディングした。英訳にはChatGPTを、作曲にはGarageBandを用いた。1曲目のイントロは80年代のR&Bと自然を意識したため、ウィンドチャイムやハープ、水の音を取り入れた。2曲目は「FONK」で、80年代ファンクやハウスミュージックを意識したため、アップテンポすぎない感覚や様々なキーボードでの見せ場を大切にした。中には最も尊敬するバンド、クイーンのOne Visionのオマージュを取り入れている。曲の1番は英語、2番はその日本語で歌った。3曲目はヴォーギングダンスの曲をイメージした重低音でアップテンポな曲である。途中、映画「羊たちの沈黙」の会話が取り入れられているのも見どころだ。歌詞ではJーPOPに囚われることへの皮肉や自由に曲を好きになることへの主張を綴っている。そして演出では、ミラーボールを屋内の太陽に見立て、そこから反射した光が床に注がれ、花が自生するというテーマのもと作った。スモークを焚くことでより幻想的な雰囲気に近づけた。

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2023年度卒業制作展 作品紹介3

「Enter the NAKAMURA ensemble」

作:川﨑 寿時

映像ゼミにはゼミ生の本田さん作、ゼミの5期生をモチーフとしたキャラクターイラストがある。

私はこのイラストから【ゼミ生コンテンツ】を構想した。

昨今は特定のコミュニティ内で話が繰り広げられるコンテンツ(部活ものやサークルもの)があるが、ゼミナールではそれらに類するコンテンツは無い。

「映像ゼミというコミュニティ」で「実在する学生のキャラクター」が織り成す世界観は、若者や大学生には共感由来の面白さを、映像ゼミを知らない人には未知のコミュニティを覗く新鮮さを提供する。

私は【ゼミ生コンテンツ】のPVとしてこの作品を制作した。

この作品は、ゼミ生11人のキャラクターラップソングを作詞・作曲・歌唱・MIXを行いMVをつけたものである。

身内ノリにならないようにラップというジャンルを採用した。ラップは押韻・歌い方のリズムや言葉遊びが魅力であり、詳細を知らずとも耳に残る心地良さがあればコミュニティ外の人にもリーチできる。ラップ楽曲で注目を集め、MVのリリックアニメーションからキャラクターの個性を知ってもらい、ゼミ生コンテンツに興味を持ってもらおうという算段である。

作詞においては、ゼミの中心として一緒に過ごしてきた私視点から得た印象・情報を強く反映している。またゼミ生というただの一般人をキャラクター化するためには尖りが必要と考え、多少誇張しすぎたくらいのキャラクター性にしている。

映像制作はAfter effects、Illustrator、blender、作曲・MIXはGrageBandを使用している。

「本人不在の誕生日会」

作:木下歩夢

今回のコンセプトは展示タイトルにもなっている『本人不在の誕生日会』であり、この言葉はオタク界隈では既存のワードである。

 本来であれば飾り付け→写真撮影を前日までに済ませてしまい、当日SNS上に投稿するために準備を行うのが基本である。撮影が終わり次第すぐさま片付けに入る必要があるため、推しを祝う満足感と同時に少しばかりの虚無感を感じざるを得ない。「卒業制作展」は数日展示が許されることから、いつもとは違った体験ができると思いこの展示コンセプトに決めた。

 今回祝っている推しは、私自身の妄想から生まれたオリジナルキャラクターであり、3年次の発表との繋がりもある。新たな設定やイラストに加え、オリジナルグッズも制作し祭壇に並べている。

 オリジナルキャラクターを使ったことで、誕生日会場に祝われる本人がいない意味の”不在”と、そもそも現実世界に存在していない意味の”不在”、”不在”の2重構造が生まれているが、『本人不在の誕生日会』を行うことで逆にその存在があるように錯覚してしまう不思議な現象が起こる。 

 また、今回は『推し寿司』という新たな推し活の提案も行った。オブラートに食用ペンでイラストを描き、チーズに貼り付けてプレートに。下の寿司も本物を使っており、全て実際に食べることができる展示となっている。

 最後に、展示の一部としてカメラを置いており、来場してくれた方に推し活の体験として撮影のお願いをしている。これにより、撮り方の構図やアイデア、普段推し活をしない人はどのように楽しむのか。など、新鮮なフィードバックを貰える仕組みになっている。

 推し活には布教の意味もあり、宗教チックなところもあるため、オタクの生態を目の当たりにしつつ、推しを祝ってくれたら嬉しい。

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2023年度卒業制作展 作品紹介2

「映像デザインゼミ生をモデルにしたキャラクターコンテンツの展開論」

作:青木結依加

この作品は、キャラクターコンテンツが成立するために必要な要素を明らかにした上で、ゼミ生が制作した「映像デザインゼミ生をモデルとしたキャラクター(ゼミキャラ)ビジュアル」を如何にしてキャラクターコンテンツとして成立させるかについて論じたものである。

ゼミキャラのビジュアルがゼミ生の制作した作品である以上キャラクター性や世界観を付加する行為は二次創作に当たるという定義を行い、それ故キャラクター性は作者や作品によって変化するものであることを指摘している。今回はキャラクター性をキャラクタービジュアルのモデルから忠実に抽出することを重視するのではなく、ビジュアルとのギャップや、人物のある一面をフィーチャー、個性、魅力として強調して伝えることをコンテンツ全体の表現課題として提案した。そこにはモデル自身の捉える自己とは異なる一面もあるだろうが、ゼミ生を見つめる中で見えてきた「私に見せる顔」であり「キャラクター性」の一つである。

また、ゼミキャラをコンテンツとして成立させることで日本国内では未発展の分野である、大学のプロモーションやゼミキャラクタープロパティの活用が可能になることも本論の意義であると考えている。

「はなちゃん」

作:碇石遥

私の幼少期のイマジナリーフレンドである「はなちゃん」を題材に、今回の映像を制作しました。撮影を通して、はなちゃんがどんな子だったか思い出しながら、また、自分の今までの道のりについて考えることで、私をつくり上げた要素や、自分の考えの本質について振り返ることができたことに価値があると思っています。

イマジナリーフレンドは基本的に、不意に現れて、気づかないうちにいなくなってしまう儚い存在で、例に漏れず、はなちゃんも同じでした。しかしながら、実態のない彼女だからこそ、私のことを嫌うことも無いし、永遠の別れもない。そう考えると、私とはなちゃんの関係はお互いに唯一無二で、誰にも邪魔することのできない宝物だと思いました。

そんな、誰かに知って欲しいような、独り占めにしたいような、そんなはなちゃんの存在を、みなさんに見て頂ける機会になったと思います。

今回、実際に撮影した映像の中に手書きアニメーションを織り交ぜることで、私の記憶の中の世界と現実を行き来するような感覚をつくりたいと思い制作しました。映像は、私のありのままの姿で撮影し、あえてナレーションは入れずにテキストのみで振り返る形にしました。

この映像を見た人が、何かしらの形で、自分の中の本来の自分と向き合うきっかけになってくれたら嬉しいです。

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2023年度卒業制作展 作品紹介1

「避難経路」

作:友松温奈

この作品のコンセプトは『日々ときどき感じる漠然とした不安感への向き合い方を考える』というもの。

私自身、昨年がすごく後悔の残る一年かつ自分の無力感を深く見つめた一年でもあった。

毎日毎日朝が来るのが怖くて、いつまでも眠ることができない。何かをしないといけないけれど、何をすれば良いのかわからない。そういった不安感、焦燥感を作品に落とし込みたかった。そしてこの作品はこの不安感との向き合い方である。作品内の挨拶にもあるように、「避難経路」というのは逃げる道を知っておくことと、その後戻ってくる道を確保しておくこと。身体も精神も健康に過ごすには如何に元の日常に戻ってこれるか、であると思う。なので作品名を避難経路とした。

また、映像をWEBサイトに埋め込み、インタラクティブコンテンツとすることによって、観覧者が、私の思う物語をただなぞるのではなく、自分で選択して物語を進められるようにした。そうしたのは、先ほど記した避難経路は人によって違うもので、それぞれが経路が欲しいなら確保しなければならないものである。そのため、5つのどこか繋がっている映像を自分で選択して視聴できるようにWEBサイトの構築をおこなった。

ぜひ恐る恐るでも良いので自分で選択をし、作品に埋め込まれた私の意図を考えながら視聴してもらいたい。

「止まり木」

作:中村未来

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蝶に気を取られるうちに、母キツネとはぐれてひとりぼっちになった子キツネの物語です。

本作は、安らぎを与えてくれる存在との決別、そして新たな出会いをテーマに描きました。このテーマは、「止まり木」のような存在を失ってしまったら、と考えた経験から発想しました。私にとっての止まり木は母です。悩んだり辛い時、いつも私の心を癒してくれる心の拠り所です。しかし、母の病気をきっかけに、その存在を喪失する不安に襲われました。自分にとっての止まり木がなくなってしまったら、自分はどこへ向かえばいいのか、どのように生きていけばいいのか、不安と恐怖でいっぱいになりました。いつか来る別れに対する恐怖と向き合う中で、決別を乗り越えた先には希望があることを信じたいという思いが生まれ、この作品を制作しました。

本作は、CLIP STUDIO、Premiere Pro、After Effectsを使用して制作した手描きアニメーションです。めくるたびに雰囲気が変わる絵本のような、温かみのある映像を目指しました。制作において意識した点は場面ごとに異なる色彩表現です。子キツネが母キツネとはぐれたことに気づいたシーンは色褪せた色使い、恐怖の中森を歩くシーンはモノクロ基調、安息の場所を見つけたシーンは鮮やかで光を感じる色彩を用いることで、子キツネの感情の変化を視覚的に表現しました。

人は誰しも、心の拠り所となるような存在を求めています。しかし、人生は変化の連続で、その存在と別れる時は必ずやってきます。この作品が、自分にとっての止まり木について考えるきっかけになれば幸いです。

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卒業制作展2022 作品解説その8

この記事は、2022年度卒業制作作品の作者による解説を紹介しているものです。今回は、楠田亜衣乃さんによる作品解説です。(以下は本人)

「夢裡」楠田亜衣乃
(手法:モニター映像)

「夢」というものは、人により抱く感情が異なるものです。安らぎや希望などポジティブなものから、不安などネガティブなものまで多様であり、時に人はこの文字で表現をし、この言葉を人生になぞらえて語ってきました。本作のタイトルである「夢裡」は夢の中を表す言葉です。

この作品では、「夢」という言葉によって想起されるイメージを、画面の揺らぎや、平面、立体の複合的手法、実在性と非現実性の融合、古い映像のような加工編集による不明瞭さなどをもって表現しています。また、シーンごとの構成やライティングは、一枚の画として成り立つものとなるよう意識しています。これらは全て3DCGで作られ、その空間の中に、あなた自身であり、また私であり、はたまた第三者でもある2Dアニメーションによって描かれた少女が佇んでいます。音声については、主に近隣で自ら録音したものを使用しており、環境音の入り混じった粗雑さも 不安定さを表現する要素の一つです。

この作品は、あくまで私という個人によって「夢」というワードから連想し生み出されたものの域を出ません。しかし、ここから感じ取るイメージは、まさしく「夢」 という言葉と同じように人それぞれであると思います。 これを通して、自身の中にある価値観を見つめていただければ幸いと思い、制作いたしました。

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卒業制作展2022 作品解説その7

この記事は、2022年度卒業制作作品の作者による解説を紹介しているものです。今回は、宮本佳代子さんによる作品解説です。(以下は本人)

「数字でわかる日本のこれから〜防衛費増額〜」宮本佳代子
(手法:モニター映像)

この作品では視聴者に2つの事を問う、1つ目は「来年度から5年間の防衛費を総額およそ43兆円確保する方向で防衛費増額が公表された現在、日本に増税は必要なのか?」と、2つ目に「防衛費がいつかGDPの2%を占めることになるであろう、優先順位はなんなのか。」だ。

私は街中で見たデモ運動で防衛費増税が検討されている事を知った。テレビやニュース等の類に触れることが少なくなり、SNSに取り上げられる内容でしか日本の今を知らなかった私は政治に関わる事をあまりしなかった。調査をしていくうちに政治と私たちの生活が密接にしていて法案一つで大きな変化をもたらすかもしれない事に気づいた。私と同じテレビ離れが進行している若者たちは日本の情勢を理解しているのか、これからの問題を一緒に問いたい。その為に、インフォグラフィックスも用い、誰でも視覚的に楽しめる映像を考えて制作した。長い作品では飽きられてしまう可能性があるのでショート映像ほどの作品に仕上げ内容もループするようにしている。また、可愛らしい映像の中に実写を取り入れる事でより現実に起きている事だと視聴者に提示する仕組みだ。この作品を見たすべての人に新しい発見、そして自身の意見を確立手段になる事が最終目標である。

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卒業制作展2022 作品解説その6

この記事は、2022年度卒業制作作品の作者による解説を紹介しているものです。今回は、大宅美沙希さんによる作品解説です。(以下は本人)

「自己報道」大宅美沙希
(手法:モニター映像、紙)

「自己報道」は、映像作品「自己報道ニュース」、新聞型作品「自己報道新聞」の二つからなる作品群である。これらは、主に大学に在籍していた4年の間で自分の身の回りで起こったことを記事として報道する作品である。

 「自己報道ニュース」と「自己報道新聞」、どちらもやっていることの本質は「ねえねえ聞いて!今日ね、こんなことがあったの!」と話しかける子どもとさほど変わらない。そして子どもならともかく、いい歳した大学生が見ず知らずの他人にこのような話題でいきなり話しかけるのは、不審に受け取られる可能性がある。しかし、「報道」の形をとることによって、違和感なく見る人に自分のことを伝えることができる。ニュースや新聞を通して記事という媒体を通して伝える「大人っぽいこと」と、最近あったことをお話しする「子どもっぽいこと」のギャップを狙ったものがこの作品群である。そのギャップを見て(あるいは聞いて)、「くだらんなあ……」と苦笑していただけると幸いである。

「自己報道ニュース」

 ニュース記事、週間メンタル予報、(存在しない)ドキュメンタリー番組の予告で構成されている約4分の映像作品。アナウンサー、お天気キャスター、ドキュメンタリー予告に映る主人公も全て作者自身が演じる。

「自己報道新聞」

 ニュースの尺では伝えきれなかった多くの記事を、8面構成の新聞にまとめている。天気予報を模して最近のメンタルのアップダウンの報告、テレビ欄を模して作者自身の22年間の人生の略歴を記している。この作品は手に取って読み、実際に持ち帰ることができる。

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卒業制作展2022 作品解説その5

この記事は、2022年度卒業制作作品の作者による解説を紹介しているものです。今回は、猪俣佳歩さんによる作品解説です。(以下は本人)

「1000年後」猪俣佳歩

(手法:本、光沢紙、インクジェット、モニター映像)

私の作品は、”ある日誰かによって発掘された1000年前の本”というテーマで制作したものです。

世界観の設定としては、今現存している文明が滅びた後、1から生物が生まれ、進化していった未来を想定しています。

作品をご覧になった方の中には、私と同じく、未来の生き物、植物を想像したことがあるという人もいらっしゃるのではないでしょうか?

作品を見ながら、そういった想像を思い出したり、今、その場で想像していただけるとより作品を楽しめるのではないかと思います。

作品内の生物について、あまりデフォルメされたキャラクターのようにならず、リアリティーのある見た目にしようと考えていました。

そのため、背景にmidjourneyを使用した画像を用いたり、現実の生き物をモチーフにし、混ぜることで存在感をだそうとしました。

また、生物の習性や基本的な行動を考え、一緒に記述し、図鑑の形式にしました。

プランクトンが現在の生物の形をしていたり、海には1体の生物しか存在しなかったり、科学的根拠はなく、私の想像ですが、楽しんでいただけると幸いです。

それに合わせて、展示している場所も特別感を出したいと思ったので、暗幕で部屋を暗くし、暖色のライトで一部を照らすことで雰囲気が出るようにしました。