『 ドキュメンタリー女探偵わか 』
作:白石資陽

この作品は、佐賀に住んでいる人なら誰でも一度は見たことがあるであろう、女探偵わかを主人公としたドキュメンタリー作品である。インタビュー映像や実際の探偵業務の映像を通して、女探偵わかの人物像、実際の仕事の内容、仕事に対する想いなど「女探偵わか」という存在の実態を浮き彫りにしていく。
また、女探偵わかの象徴ともいえる、広告看板にも焦点をあてている。作中の女探偵わかの言葉から分かるように、広告看板は苦しむ人々の救いになりたいという女探偵わかの思いから建てられている。一方で、地域の魅力をつくるうえで欠かせない景観を守りたい、子供に見せたくないなどといった世間からの批判的な意見があるのも事実である。

不倫や浮気を許さない一般社会では、浮気調査と大々的に書いてある看板には、懐疑的、批判的な目が向けられる。しかし、不倫問題に苦しむ人々も数多くいる。視聴者がこの問題を自分事として捉えるきっかけになるような作品になればと思う。

『 修羅場つめ 』
作:堀口琉愛

私の卒業制作は、3年時成果展のテーマとなっていた『人に言えない研究』からスタートしている。
このテーマについてどの様に取り組むか考えた際に思いついたのが、当時私が特にハマっていた『修羅場』を取り扱ったコンテンツだった。
主に不倫や夫婦間のトラブル、そしてそれに伴う復讐劇を扱うそれらのコンテンツは、注目してみれば日常の至るところに溢れているが、それを見ている事や楽しんでいる事はあまり公には言わない人が多いだろうし、ましてやそれらをアートや芸術だという認識で見ている人は殆どいないだろう。
また今回の作品でも、成果展時と同様に私は特に2chを題材に用いている。

本人たちですら『こんなところにいるような奴らは・・・』と自分達を卑下する様な姿勢が前提にあり、話し手と聞き手の反応を含んだやり取りが一体となって一つの作品の様に見える、という点を特に面白いと感じたからだ。
展示は敢えて床に貼ることで、普段は目に付かないような、そして誰も本来作品を展示したがらないような場所にこういったコンテンツは普段配置され、そして密かに人々に楽しまれているのだという事を表現した。
気軽にどこででもみることができる、参加することのできるコンテンツが身近にあること、そしてそれを楽しんでいる人もまたとても身近にいるのかもしれない、ということを考えるきっかけになれれば、と思う。
