この記事は、2022年度卒業制作作品の作者による解説を紹介しているものです。今回は、財津邦央さんによる作品解説です。(以下は本人)
「奇怪人 クラウン」財津邦央
「右と左」「朝と夜」「表と裏」・・・
全ての物事は必ず二つの側面を持っており、
その二つはまるでコインのように表裏一体になっている。
彼はある人間の「もう一つの側面」として誕生した。
その人間はどこにでもいる普通の人間だった。
・・・正確には普通の「側面」を被ってだけかもしれない
なぜ「普通」に生きなければいけないのか?道を外れることはいけないのか?
普通に生きるのが「正しい」と言えるのか?それ以外は「間違い」と言えるのか?
そもそもなぜ自分の意見は否定されるのか?自分はなぜ他人の意見を否定するのか?
「正しい」「正しくないの基準ってなんだ?他の人はそれを持っているのか?
なぜ自分は・・・、なぜ人は戦・・・、なぜ%(は&‘’・・・?
そういった悩みが知らず知らずのうちに蓄積し、限界まで達したとき、
「そいつ」は生まれた。
名は「ウラクン」
混沌の象徴として「嵐」の意であるウラカン(HURACÁN)からきている。
「旅客機」と「戦闘機」、「乗用車」と「装甲車」など
正反対の性格をもつ乗り物がイメージに組み込まれている。
そいついわく使い方で「善」にも「悪」にもなり得る「モノ」の象徴らしい。
目はシートベルトで目をふさぎ、唇は後ろにあるはずのテールライトで構成されておりどことなくピエロのような外見となっている。
そいつは自分を「ヒーローでもヴィランでもない」と称している。
特にそいつはよくこう話している。
『オレは今一度「表裏一体」というものを考えてほしくて出現したんだ。
右(R)になれば王冠(CROWN)、左(L)になれば道化師(CLOWN)になる。
たった1文字の違いで正反対の身分になれるんだ。
でも正反対になるのはオレの名前だけじゃない。
ちょっと視点を変えるだけで「善」は「悪」にだってなりうるんだ。
お前が普段持っている考えた意見、それは本当に正しいのかい?」